AI恋愛ゲーム『ラブコネ』体験レポート。生成AIでヒロインとプレイヤーが自由に会話し恋愛できる未来感と、残る課題と #デジゲー博

生成AIは恋愛ゲームを変えるのか?

2023年11月12日(日)に秋葉原UDXにて行われたインディー・同人ゲームの展示会『デジゲー博』。その直前に、気になるプレスリリースが発表された。
生成AI技術とゲーム業界の知見を融合させた恋愛ゲーム『ラブコネ』がデジゲー博に展示されるという。プレイヤーの言葉でヒロインのアイちゃんに話しかけ、自由に会話して恋愛を楽しめるAI恋愛ゲームだという。

普通の恋愛ゲームでは決まった言葉しかつかえない。
しかし、『ラブコネ』ではプレイヤー自身の言葉で愛を熱く語れるわけだ。そうなると、国語力がないプレイヤーでは付き合えないヒロインが出てくるかもしれない。面白そうだ。

実際に公式PVでは、ヒロインに突然「結婚しよう!」と言って困らせる様子が見て取れる。

すでにChatGPTを利用してキャラクターを演じさせる試みは多いが、キャラがリアルタイムで見えて声で反応してくれるなら、かなり違う体験になるかもしれない。

これは見に行くしかない。

ということでやってきたデジゲー博。入場とほぼ同時に『ラブコネ』ブースへ!
見えてきた、あれがラブコネの登りね。ふーん、ギャルじゃん。

「今日は、デジゲー博のラブコネブースに来てくれてありがとー」と、会話開始。
デモ版は音声認識でプレイヤーがしゃべった内容をテキスト化し、アイちゃんに送ることができた。もちろん、内容は自由。
いきなり結婚を迫ってもいいし、普通に会話をしてもいい。

第一印象は……最高!
というか、かわいすぎる。キャラクター性を与えられた生成AIと会話する遊びは楽しいが、多くの場合は反応に時間がかかる。
だが、『ラブコネ』のアイちゃんはかわいい3Dキャラで、会話に応じて豊かに動くので待つ時間が気にならない。

待ち時間が長い生成AIの隙間を、キャラクターの動きや表情で埋めているわけだ。このあたり、長年ロード時間と戦ってきたゲーム業界の知見が感じられた。

デモを展示したSunEmotionによると、「生成AIによってさまざまなものができているが、当面は満足できるほどの品質にならないのが3Dモデルと動きだと考えた」そうで、3D素材こそデモに間に合わせるために素材を買ってきたものだが、モーションはかなり気合を入れて用意したという。

無言の時間が続くとわざとらしく待つ様子がかわいい。会話したらしたで画面をのぞき込み、考え込むポーズもかわいい。
デモが大画面モニターで展開された効果もあるが、言葉に対する動きと表情変化の情報量、存在感が圧倒的。

ギャルが好きでもないのに、好きになってしまいそう。
それぐらいの良さがあった。
時間をかけてテキストと2D画像を生成するAIでは、まだこの体験はできないだろう。

一方で、まだまだ生成AIゆえの欠点も見て取れた。
アイちゃんはプレイヤーに好意をもっているようにふるまうことが定められているのか、何度も好意的に迫ると押しに弱くお願いを聞いてしまう。
また、少し会話を続けて好感度を上げてから自己紹介を促すだけでスリーサイズをプレイヤーにアピールする好感度MAXな痴女(?)状態へ。

難しい問題になるとChatGPTで良く見る丁寧口調になってしまい、急激に現実に引き戻されることもあった。
現在の生成AIで表現が難しいことをクリエイターが補い、生成AIしかできない部分は生成AIが担う。これ自体は良い着眼点だが、テキスト生成AIの欠点を乗り越えることが課題になりそうだ。

総合すると、『ラブコネ』は生成AIが3Dやリアルタイムな対応能力を持った未来に実現できるであろうAIヒロインを少し早く体験させてくれるもの、と言えそうだった。

実際、「未来」を感じるデモではあった。
一方で、その未来は感じる程度で実感に至らない。未来を感じた瞬間にChatGPT口調やら、キャラクターの破綻が出てきて見える前に終わってしまう。

このあたりはこれからどんどん手を入れていく(キャラクターモデルなどもオリジナルになっていく)そうなので、デモの展示のたびに進化していくアイちゃんに出会えることだろう。

次回また遊べることがあれば、その進化の度合いをまたレポートしていくつもりだ。レポートが待ちきれない方、体験したい方はSunemotionの公式サイトかXをフォローして次の展示の情報を待とう。

ラブコネ 公式WEB / X