NTRがあると評価が下がる?求められるゲーム内容は?DLsiteの全レビューを言語解析して考察した「ユーザーレビューから紐解くユーザーが本当に求めているもの」講演レポート【性DEC 2023】

R18ゲームのプレイヤーは、何を求めているのだろうか?
DLsiteのレビューすべてを言語解析にかけ、それを調査したツワモノがいる。

2023年11月3日に秋葉原で行われた二次エロ作家のための技術系ミニ講演会『性DEC 2023 (SEDEC 2023)』。
その中で行われたセッション「ユーザーレビューから紐解くユーザーが本当に求めているもの」では、DLsiteの全レビューを言語解析した結果が発表されていた。

R18ゲームプレイヤーの嗜好調査としてはDLsiteによる【エッチ同人ゲームユーザー 一斉調査2023】などが有名だが、今回は異なるアプローチからの調査結果となる。

講演を行ったtozicaさんは、ゲームサークル『tozicode.com』代表。
もともとはゲーム制作をしながらも仕事として機械学習、データの分析を行っており、今回はその仕事で培った技術を生かしてDLsiteで公開されているユーザーレビュー文章を取得し、その文章をTF-IDF(文書中に含まれる単語の重要度を評価する手法)で分析した。

発表上では「製作上気をつけるべき、ユーザーから低評価されやすいポイント」をレビューから探り出すことが目的とされ、手法としては、高評価レビューと低評価レビューを比較し、「低評価レビューに頻出する単語=ユーザーが不満を抱きやすいと思われるポイント」を探り出すアプローチをとっている。

分析対象はDLsiteの成人向けゲーム17,597作品。ユーザーレビュー212,089件が対象。
レビュー数のサンプルが少なく、ディープラーニングによる解析は断念したとのこと。

最初に全体的な傾向。全体的なレビュー傾向として、DLsiteでは低評価レビューについて英語・韓国語外国語の単語が多く、日本人はレビューが厳しいという一般論(※)と逆の結果であると示された。

また、その文句にはユーザービリティに関する表現(ストレスフル、苦行、不親切、ノーヒント)・ボリュームに言及する表現(薄味、淡白、使いまわし、ワンパターン)が多い、ということがわかったという。

※DLsiteは独自の基準でレビューをフィルタリングにしているため他のプラットフォームと単純比較はできない。tozicaさんは資料作成時点ではそのことを知らなかったため「外国人のレビューは厳しめ」と書いたが、今回の結果は「フィルタリングに外国語レビューがすり抜けてる」という風に解釈できると補足をいただいている。
ちなみに、ゲームで言えばsteamのデータ会社「Steam Data Suite(有料サービス)」が2023年時点で日本のポジティブレビュー率が76%とワースト1位にいることを発表している(ワースト2位の中国は82%なので際立って低い)。すくなくとも、ゲームについては現実に厳しいのは間違いないだろう。

プレイ時間が長くなる方にバランスが悪いと低評価につながる

敵が強すぎて長時間の稼ぎが必要、謎解きに総当たり作業が必要、エンカウント率が高すぎるなど、プレイヤーが「引き延ばし」と感じられる方向でプレイ時間が長くなると低評価につながる。

逆に簡単すぎても低評価にならない

簡単すぎても低評価の要因にはならないこともわかったという。ただし、個人製作のゲームは難しくなりがちな傾向があり、DLsiteには不満を抱くほど簡単すぎるゲームが存在しなかった可能性もありうるという見解も示された。

ランダムエンカウントは嫌われがち

フィールドを歩いていると確率で敵と出会う「ランダムエンカウント」方式は低評価の要因になることが多かったという。ランダムエンカウントでも高評価のゲームはあるが、数は少ない。
適切なエンカウント率を設定することは難しいため、データ上はこだわりがなければランダムエンカウントは避けたほうが良い、と示唆された。

R18ゲームのストーリーは高評価の要因になるが、低評価の要因にならない

低評価レビューで「脚本」や「ストーリー」といった単語がほとんど出てこない。一方で高評価のレビューでは「ストーリーや脚本が素晴らしい」と評価する声が多かったという。
つまり、R18ゲームではストーリーが良いことがプラスになることがあっても、マイナスに響くことは少ないと考えられるそうだ。

NTR・鬱展開、地雷シチュエーションがあることで評価が下がることはない

つづいてtozicaさんが注目したのは、俗に「地雷」と言われて拒否反応を示す人が見られる内容がゲーム内に含まれていたとき、低評価の要因になるのか。

たとえば「ヒロインのNTR展開があったので★3です」といったものだ。

これについては、その傾向はみられなかったとのこと。これについては、ゲーム内に地雷シチュエーションが存在していたとしてもプレイヤーが避けられる(ゲームプレイで、説明文やタイトルから類推して)ということもあるかもしれない、と語られた。

ボリュームと評価の詳細な関係は難しい

そして最後に「ボリュームは低評価の要因になるのか」については、低評価レビューの中に水増しなどに関する単語が多いことからボリューム不足が低評価の要因となることは自明だと思っているとしつつも、「いくらの値段のゲームにはどのくらいのボリュームがあれば満足してもらえるのか」は結論が出せなかった、としている。

例えば「CGがx枚あるゲームなら値段はCG枚数×100円にすればOK」のような結論が出せることを期待していたが、

1. ボリュームを表す指標(CG●枚、イベント●個、ヒロイン●人、etc)が作品ごとに様々であること
2. ボリュームに関する情報がそもそもストアページ上で明示されていない作品が多い

ことから、一般的な結論をレビュー分析から導くことは現実的に難しいことが分かったという。
Steamレビューならばプレイ時間の情報がつくので、もう少し踏み込んだ解析ができる可能性はあるとしている。

まとめ

最後に振り返りとして、以下のような講演サマリーが示された。

  • ゲーム性は必須ではないが、エロ要素を楽しむうえでプレイの快適さは重要
  • ユーザーは水増しに敏感
  • ランダムエンカウントは嫌われがち
  • 地雷シチュエーションの存在そのものが低評価の原因にはなりづらい

聴講した感想としては、性DEC 2023の別講演「エンディングまでヌくんじゃない!プレイヤーをクリアに導く方法」でも「最後まで遊ばれると高評価がつきやすい」ことが言及されており、プレイが止まらない快適さは重要なことに非常に納得感があった。

また、ストーリーに関しても目的のもの(主にエロ)のボリュームがしっかりしていれば、高評価してしまうわけで、ストーリーが低評価の理由にならないという結論にも納得感があった。

tozicaさんはSteamのレビュー解析にも意欲を燃やしており、次があればさらに興味深い話が聞けそうであった。気になる方はtozicaさんのXなどをフォローして最新情報を追って欲しい。

発表の場となった性DECは2024年も開催が決まっており、主催のKLV CanvasさんのCi-enサイトを追っていれば最新の情報が手に入る。こちらも併せてフォローしておこう。

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カナデオログ+(R18 DLsite専売
「カナデロオグ+」は、魔法少女の「跡治奏」を操作して、彼女に寄生した触手服を強化しながら、プレイの度にランダム生成されるダンジョンを攻略していく、3DローグライクRPG。